「お墓参りは一人で行ってはいけない」との言い伝えや、一人で行くことが危険視される雰囲気を感じたことがあるかもしれませんね。
果たして本当に一人でお墓参りしてはいけないのでしょうか?
その理由や実際の状況について、またお墓参りでのタブーについてもご紹介します。
一人でお墓参りを行うべきでない理由
お墓参りに一人で行くことに特に慣習はないですね。
実際、一人でお墓参りに行く人も多く、私も時折一人で訪れます。
ただし、昔から言われている「お墓参りは一人では行ってはいけない」という理由には、大まかにふたつの要素が絡んでいます。
霊に引っ張られる
一つの理由は、一人でお墓に行くと霊に引っ張られたり、帰り道についてきたりすると言われています。
これはスピリチュアルな考え方ですね。
ただし、お墓はご先祖様を尊重し、接する場所であり、お墓参りの際に作法を守れば気にする必要はありませんよ。
昔は危険な場所にあった
そしてもう一つの理由は、昔はお墓が山の中やひとけの少ない場所にあったためです。
古い時代の話ですが、山奥には山賊が潜んでおり、襲われたり、野生動物との遭遇がありやすかったのです。
また、立地が不利なため、階段や坂道でケガをしやすく、一人で訪れると危険な状況になる可能性がありました。
つまり、かつてはお墓が危険な場所にあったため、一人での訪問は危険でした。
このことが危険性を強調され、結果的に霊に引っ張られるといった言い伝えが生まれた可能性があります。
夏は体調が不安定
また、もう一つの理由として、お墓は日陰が不足しており、夏のような高温で日差しが強い季節になると、墓石からの照り返しが非常に強烈になります。
これはスポーツと同じで、熱中症にかかりやすくなります。
その結果、人通りが少なく、熱中症の症状が出た場合に助けを求める人がいない可能性があるため、一人での訪問は危険です。
熱中症の予防のためには、お供えのお水とは別に、自分で用意した水分補給も必要ですので、注意が必要です。
気をつければ一人でお墓参りに行くのも安心
お墓参りのマナーは2人以上で行くことが絶対条件ではありません。
現在のお墓の状況や整備状況によっては、1人で訪れても安全です。
昔ながらのひとけのない場所や、整備が不十分な場所であれば、できるだけ他の人と一緒に行く方が良いかもしれません。
夏季はこまめに水分補給をし、体調が良いときに訪れるようにしましょう。
整備が行き届いている墓地やアクセスが良い場所では、一人で行っても安心です。
逆に整備が不十分で、天候が悪かったり、立地が厳しい場合や、ひと気のない時間帯(早朝や夕方)には、2人以上で行くことをおすすめします。
お墓参りの際、避けるべきことやタブー
お墓参りの際に気をつけるべきタブーやマナーについてご紹介します。
飲み物を墓石にかけないようにしましょう
テレビドラマなどで、故人が好んでいた飲み物を墓石にかける場面を見かけることがありますね。
しかし、ジュースなどの飲み物を墓石にかけるのは避けましょう。
これらの飲み物には糖分が含まれており、虫の誘引要因となってしまいます。
また、細かい穴に飲み物が染み込むと、墓石の変色の原因になります。
ジュースなどの飲み物はコップに注いでからお供えしましょう。
缶やペットボトルをそのままお供えする場合は、お参りが終わったら持ち帰るように注意しましょう。
お供え物を残さないように
昔はお供え物をそのまま置いて帰ることが一般的でしたが、お参りが終わったら必ずお供え物を持ち帰りましょう。
お供え物をそのままにしてしまうと、動物が荒らしてしまったり、お墓を傷つけたり、他のお墓まで汚してしまう可能性があります。
また、置きっぱなしにされたお供え物は腐って異臭を放つことがあり、周囲に迷惑をかけることも考えられます。
お供え物は必ず持ち帰りましょう。
帰宅後、お供え物を食べても問題ありませんし、その場で食べても構いません。
お供え物の再利用について
お墓以外の場所でお供え物を持ち帰り、仏壇などに再びお供えするのは、失礼になりかねないので慎重にお願いします。
お供え物はお供えした時点で一度召し上がったものとして扱われるためですね。
ちなみに、仏教の教えでは、五辛と呼ばれる食材(ニラ、ニンニク、ねぎ、らっきょう、はじかみ=生姜・山椒)は食べることが禁じられていることがあります。
また、肉や魚も生のままの供え物は避けることがあります。
特に故人が生前に仏教を信仰していた場合は、その信仰に配慮すると良いでしょう。
ろうそくを息で吹き消さないで
これは仏教の教義に基づくもので、人の口は不浄とされています。
したがって、清浄なろうそくの炎を不浄なもので汚してしまわないように、ろうそくを吹き消す際には必ず手で仰いで消すようにしましょう。
現在では、仏具店や100円均一のお店などでもろうそくを消すための道具が販売されているので、そういった道具を使うのも良いでしょう。
お墓への花の注意事項
お墓へのお供えに使う花には特定の規定はありませんが、とげのある花や彼岸花、首が折れやすい花、強烈な香りの花などは避ける方が良いとされています。
通常、菊や白い花、百合、カーネーションなどが一般的に使用されますが、故人が好んでいた花があれば、ぜひそれをお供えしてください。
また、花粉の多い花はお墓を汚す原因となるため、花粉をきれいに拭いた上でお供えするよう心掛けましょう。
他人のお墓に手を合わせない
これもスピリチュアルな観点からの考え方ですが、自分のご先祖様に挨拶しに来たのに、他人のお墓に手を合わせる必要はありません。
挨拶をしてしまうと、他人のご先祖様が気にかけることになり、何かしらの影響が出る可能性があるとされています。
墓参りを避けた方が良い日
特定の「行ってはいけない日」は存在しません。
いつでも大丈夫ですが、天気が悪い日や猛暑日はできるだけ避けましょう。
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お墓参りの手順
宗派によって異なりますが、基本的な方法をご紹介します。
- 墓地に入る前に数珠を付けます。
- お墓の前に来たら合掌をしてご挨拶をします。
- 墓石を濡れタオルで掃除し、乾拭きをします。
- お水やお菓子などを供えます。
- ロウソクとお線香をあげます。
- 合掌をします。
- 片付けをし、ご挨拶をします。
- 墓地を出たらお塩で清めます。
服装について
一人でお参りする場合は、カジュアルな服装でも全く問題ありません。
目上の方とお参りする場合は、フォーマルな服装を心がけると良いでしょう。
帽子を被るのは問題ありません。
特にお盆など夏場は熱中症の危険があるため、帽子をかぶることをおすすめします。
ただし、手を合わせる際には帽子を脱ぐように心掛けましょう。
午後のお墓参りは問題なし
午後にお墓参りに行くことにはスピリチュアルな意味があるとされていますが、これはあくまで個人の信念に基づくもので、厳格なマナーとは言えません。
そのため、昼過ぎにお墓参りに行くこともあるかもしれませんが、夕方になる場合は翌日や別の日に延期するのが良いでしょう。
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手ぶらでお参りしても良い
お墓参りのお作法や持ち物について気になることがあるかもしれません。
しかし、深く悩む必要はありません。
故人に思いを寄せたり、何かを伝えたり、急に行きたくなったという理由であれば何でも良いのです。
大切なのは、その気持ちを持ってお参りすることです。
それだけで故人やご先祖様も嬉しいと感じることでしょう。
ただし、霊感が強い方や敏感な方は、できれば数珠を持っていくと良いでしょう。
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お墓参りできない場合
遠くて行くのが難しかったり都合が合わないこともあるでしょう。
無理に行かなくても問題ありません。
もし自宅に仏壇があるなら、お線香を焚いて合掌し、心を通わせましょう。
もし仏壇がなかったり外出先であれば、お墓の方向に向かって合掌し、心の中で思いを伝えるだけでも十分ですよ。
お墓参りの際、一人での訪れは避けるべき理由と注意すべき点とは?まとめ
お墓参りをしっかりしたい人は中途半端に行かず、他のお墓に迷惑がかからないように最低限のルールを守りましょうね。
ルールが面倒くさいし、気軽に行きたい!フラッと立ち寄りたい!という方でも大丈夫ですよ。
故人やご先祖様に対して、「会う」「ご挨拶をする」「報告をする」これが大事だと思っています。
また、お墓参りに行けないときも、ご自宅や出先でも手を合わせることができます。
これからもご先祖様は大切にしていきましょうね。
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