睦月から始まる旧暦の月の名前がどのように決まったのか、ご存知ですか?
和風月名にはどんな意味が込められているのでしょうか?
月の別名や異名はどのように読まれるのでしょうか?
これらの疑問にお答えします!
かつての日本での1月から12月までの呼び名や、それぞれの名称の由来、さらには日本独特の呼び名のバリエーションまで、わかりやすくお伝えします。
旧暦月の覚え方についてはこちらの記事をご参考に!
旧暦の月の名前の由来
例えば、12月は「師走(しわす)」、3月は「弥生(やよい)」など、一年を十二に区切った『月』には数字以外の別の呼び名も存在します。
カレンダーなどでも、数字の代わりに旧暦の月名である「睦月」「如月」などが使われています。
例えば8月に生まれた赤ちゃんには、「葉月」という名前が使われることもあります。
この「葉月」は男女ともに使用される名前です。
これらは「和風月名」と呼ばれ、旧暦で使用された月の和風の呼び名です。
旧暦は新暦(太陽暦)が採用される前に使われていた暦で、新暦は1872年(明治5年)に採用されました。
旧暦は月の満ち欠けを基準にしていたが、新暦は地球が太陽の周りを回る周期を基準にしているため、現在の季節感とは1〜2ヶ月ほどずれがあります。
和風月名は旧暦の行事や季節に合わせた名前であり、『月の異称』『月の異名』『月の別名』とも呼ばれています。
各旧暦月の名称の起源には諸説があり、月の別名にはさまざまな説があります。
ここでは、いくつか有力なものや面白い説を紹介していきます。
旧暦の月の名前にはどのような意味が秘められている?
昔の日本では、月の和風の呼び名である和風月名(わふうげつめい)が使われていました。
各月の呼び名を一つ一つ探ってみると、その深い意味や風情が感じられ、非常に趣のあるものです。
和風月名が風情豊かに感じられるのは、その月に相応しい呼び名が選ばれているからかもしれません。
1月 睦月(むつき)
2月 如月(きさらぎ)
3月 弥生(やよい)
4月 卯月(うづき)
5月 皐月(さつき)
6月 水無月(みなづき)
7月 文月(ふみづき)
8月 葉月(はづき)
9月 長月(ながつき)
10月 神無月(かんなづき)
11月 霜月(しもつき)
12月 師走(しわす)
睦月(むつき):1月
睦月には仲睦まじい温かい関係を築く月という意味が込められています。
1月、お正月には家族や親戚が顔を合わせ、和やかな宴を開き、一緒に温かい時間を過ごす月です。
そのために「相睦び月(あいむつびつき)」「睦び月(むつびつき)」と呼ばれ、やがて「睦月(むつき)」として親しまれるようになりました。
また、稲の実を水に浸す最初の月であるとされ、「実月(むつき)」と呼ばれることもあり、1年の始まりを象徴する月として「もとつき」が「むつき」に変化したとの説もあります。
■ 1月の月名の異称や読み方
新春(しんしゅん)、初春(しょしゅん)、太郎月(たろうづき)とも呼ばれます。
如月(きさらぎ):2月
旧暦の2月は現在の3月半ばに相当します。
したがって、「寒さがぶり返し、いったん脱いだ衣を更に重ねる月」という意味の「衣更着」が「きさらぎ」の語源とされています。
別の説では、寒すぎて更に服(衣)を重ねることから「衣更着(きさらぎ)」と呼ばれるようになったとも言われています。
「如月」という漢字は、中国最古の辞書である『爾雅(じが)』の「二月を如となす」という記述に由来しますが、中国では「きさらぎ」とは読まれません。
■ 2月の月名の異称や読み方
雪消月(ゆききえつき)、初花月(はつはなつき)、梅見月(うめみづき)とも呼ばれます。
弥生(やよい):3月
「弥生」の「弥(いや)」は、「ますます」「いよいよ」などを指します。
また、「生(おい)」は「生い茂る」という言葉に使われ、草木が芽吹く様子を表します。
「暖かな陽気に草木がますます生い茂る」という意味の「弥生(いやおい)」が、「弥生(やよい)」に変化してきたとされています。
■ 3月の月名の異称や読み方
桜月(さくらづき)、夢見月(ゆめみづき)、花見月(はなみづき)とも呼ばれます。
卯月(うづき):4月
4月は卯の花(ウツギの花)が咲く季節であり、「卯の花月」の略とされる説が支持されています。
■ 4月の月名の異称や読み方
夏初月(なつはづき)、花残月(はなのこりづき)、清和月(せいわづき)とも呼ばれます。
皐月(さつき):5月
早苗を植える「早苗月(さなえづき)」が短縮されて「さつき」となり、後に「皐月」の字が与えられたと考えられています。
「皐」という字には水田を指す意味が込められています。
■ 5月の月名の異称や読み方
稲苗月(いななえづき)、早稲月(さいねづき)とも呼ばれ、また旧暦では梅雨の季節だったことから雨月(うげつ)、梅月(ばいげつ)、月不見月(つきみずづき)とも呼ばれます。
水無月(みなづき):6月
旧暦の6月は、現在の7月上旬から8月上旬に相当します。
梅雨が明け、夏の盛りであることから、水が涸れて無くなる月とされる説や、田んぼに水を張る時期であることから「水月(みなづき)」に変化したとも言われています。
■ 6月の月名の異称や読み方
風待月(かぜまちづき)、焦月(しょうげつ)、鳴雷月(なるかみづき)、涼暮月(すずくれづき)などとも呼ばれます。
文月(ふみづき/ふづき):7月
7月の文月は、七夕行事が起源とされています。
もともとの七夕は、短冊に詩や文字を記し、書道の向上を祈った行事でした。
この七夕の行事に因み、「文披月(ふみひらきづき)」が文月に変化したと言われています。
■ 7月の月名の異称や読み方
七夕月(たなばたづき)、七夜月(ななよづき)、女郎花月(おみなえしづき)とも呼ばれます。
葉月(はづき):8月
旧暦の8月は、今の新暦では秋の初めから中ごろ(九月上旬から十月上旬)に相当します。
葉が散る季節、「葉落ち月(はおちづき)」が略されて「葉月」となったと言われています。
■ 8月の月名の異称や読み方
月見月(つきみづき)、雁来月(かりきづき)、仲秋(ちゅうしゅう)とも呼ばれます。
長月(ながつき):9月
暦の9月は、今の新暦では10月上旬から11月上旬に相当します。
秋に入り、夜が長くなることを示す「夜長月(よながづき)」が略されて「長月(ながつき)」となったとされています。
また、この季節は雨が豊富に降るため、「長雨月(ながめつき)」から「長月(ながつき)」に変わったとする説もあります。
■ 9月の月名の異称や読み方
菊月(きくづき)、紅葉月(もみじづき)、稲刈月(いねかりづき)とも呼ばれます。
神無月(かんなづき/かみなしづき):10月
10月は出雲大社に全国の神様が一堂に会する月です。
そのため、神々が出雲の国に行ってしまい留守になるという「神なき月」が変化して「神無月(かんなづき)」になったと伝えられています。
一方で、神々が集まる出雲の国では「神在月(かみありつき)」とも呼ばれます。
■ 10月の月名の異称や読み方
神去月(かみさりづき)、時雨月(しぐれづき)、初霜月(はつしもづき)とも呼ばれます。
霜月(しもつき):11月
11月は文字通り、霜が降りる月です。
そのため、「霜降月(しもふりつき)」から略して「霜月(しもつき)」と呼ばれるようになりました。
■ 11月の月名の異称や読み方
霜見月(しもみづき)、雪待月(ゆきまちづき)とも呼ばれます。
神無月に出雲大社に全国から集まった神様がもとの場所に帰っていくので、「神帰月(かみきづき)」とも呼ばれます。
師走(しわす):12月
「師」とは僧侶を指します。
12月は僧侶(師)を迎えてお経を聞く月でした。
師が馳せる月という意の「師馳す」が変化し、「走る」という字があてられたとされています。
■ 12月の月名の異称や読み方
梅初月(うめはつづき)、春待月(はるまちづき)、暮古月(くれこづき)とも呼ばれます。
旧暦月の名前の由来と意味!別名や異称の読み方は?まとめ
和風月名(わふうげつめい)は、旧暦で使われていた月の呼び名です。
1月:睦月(むつき)
2月:如月(きさらぎ)
3月:弥生(やよい)
4月:卯月(うづき)
5月:皐月(さつき)
6月:水無月(みなづき)
7月:文月(ふづき)
8月:葉月(はづき)
9月:長月(ながづき)
10月:神無月(かんなづき)
11月:霜月(しもつき)
12月:師走(しわす)
これらの月名は、現在の季節感とは1〜2ヶ月ほどのずれがあります。
和風月名は「月の異称」「月の異名」「月の別名」などとも呼ばれ、それぞれの名称の由来には諸説があります。
日本の美しい文化の一環として、風情のある月の伝統的な呼び名が残されています。
これらの月の名前は漢字からも季節の美しさを感じさせるもので、数字を使わない旧暦の表現は日本独特の豊かさを伝えています。
旧暦月の覚え方についてはこちらの記事をご参考に!